46冊目 感染症の世界史(石 弘之)

Q;これまでの感染症について学びたい

A;学んで見えてくることは「人類の発展=感染症の発展」です。

これまでの感染症について学びたい。この本はそんな人におすすめの一冊です。

 

この本は「環境と感染症」をテーマに過去の感染症について紹介しています。

 

今回は紹介されている様々な感染症のの中から3つの感染症を選択し、3ポイントとしてご紹介します。

 

本書の1ポイントは

 

人類の発展=感染症の発展

 

です。

 

なお、この本は2014年に発刊されたものですので、最新の感染症の情報には触れられておりません。

 

概要

46冊目 感染症の世界史(石 弘之)

1ポイント 人類の発展=感染症の発展

 

■3ポイント

 

1. コロナウイルス(SARS)-都市と交通の発展-

 

2. インフルエンザウイルス-畜産業の発展-

 

3. エボラウイルス-町の発展(森林伐採)-

 

■著者

 

石 弘之

 

■更新日

 

2020.05.09

 

3ポイント

1. コロナウイルス(SARS)-都市と交通の発展-

コロナウイルス(SARS)。発症すると、高熱、咳、呼吸困難などの症状があらわれ、衰弱死、命を落とします。

 

2002年、中国広東省深圳市で最初のコロナウイルス(SARS)の感染者が出ました。当時の深圳市は経済ブームで、職を求めて多くの若者が地方から集まっていました。

 

この頃、上海と香港を経由してハノイに移動したビジネスマンが原因不明の重症の呼吸器病にかかり、ハノイの病院に入院。そして、香港の病院に移送されますが死亡します。
その後、ハノイと香港の病院でビジネスマンの治療にあたっていた医師や看護師にも同じ症状があらわれ死者が現れます。

 

また、香港の病院で肺炎の治療にあたっていた医師が、市内のホテルに宿泊していたところ気分が悪くなり、嘔吐し、病院に運ばれます。医師が宿泊していた客室は従業員により清掃されますが、その清掃機具から他の客室に宿泊していたシンガポール人、カナダ人、ベトナム人に感染。感染に気付かなかった彼らがそれぞれの国に帰国し、海外へと感染が広がっていきました。

 

その後、病原体は新型コロナウイルスであることが判明し、SARSと名付けられました。

 

経済が発展し、人が密集して暮らすようになりました。そして、人々の「移動手段」は徒歩、馬、帆船、汽船、鉄道、自動車、飛行機と発達し、簡単にどこでも移動できるようになりました。

 

それと同時に、ウイルスたちも密集して感染しやすい場所と、簡単にどこでも行ける移動手段を手に入れたのです。

 

2. インフルエンザウイルス-畜産業の発展-

インフルエンザウイルス。発症すると、高熱、咳、頭痛などの症状があらわれ、高病原性のウイルスの場合、重症化し命を落とします。

 

1918年 スペインかぜ、1957年 アジアかぜ、1968年 香港かぜ、2009年 豚インフルエンザ。インフルエンザは世界的な流行を何度も起こしている有名な感染症です。

 

もともとインフルエンザウイルスはシベリア、アラスカ、カナダなど北極圏近くの凍りついた湖や沼に生息するウイルスです。

 

しかし、北極圏近くに住み着いているカモやガンなどの渡り鳥が春になると繁殖のため各地に飛び立ち、糞とともに各地にインフルエンザウイルスをばらまくのです。

 

この鳥由来のインフルエンザウイルスはウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミ、アシカ、クジラなど様々な動物に感染できますが、直接ヒトへ感染することはありません。しかし、ブタへの感染がヒトへの感染の仲立ちをします。豚に感染したインフルエンザウイルスはブタの体内で変化し、ヒトヘも感染できるようなります。

 

また、様々な種類の動物に感染できるインフルエンザウイルスは変化の頻度も多く、稀にヒトヘ感染する新型の高病原性のインフルエンザウイルスが表れ、世界的な感染流行を引き起すのです。

 

なぜ、インフルエンザがこれほど人間社会で猛威を振るうようになったのか?それは畜産業が発展が影響しています。

 

この四半世紀で世界的に食肉量が増加し、鶏肉、豚肉の消費量が増大しています。鶏肉、豚肉の消費量の増大に伴い、畜産業が発展し、多数の鳥、そして豚が密度の高い環境で飼育されるようになりました。この環境が鳥から鳥、鳥から豚、豚から人へとインフルエンザの感染を手助けし、今では人から人への感染するインフルエンザが当たり前の社会となったのです。

 

3. エボラウイルス-町の発展(森林伐採)-

エボラウイルス。発症すると高熱と激しい下痢とともに、内臓が溶けて全身から血を噴き出して死んでいく悲惨な症状を引き起こします。

 

2013年12月。 ギニア南部の都市ゲケドウでエボラ出血熱の感染者が表れ、死亡しました。

 

その4か月後、86人が集団感染し、うち59人が命を落としました。その流行は収まることなく、死者は1万人を突破しました。その中には各地から派遣された医療従事者も含まれていました。

 

今回のエボラ出血熱ウイルスはオオコウモリ由来のウイルスが感染源と考えられています。その地域では日常的にコウモリを焼いて食べており、そこから感染が広がったようです。また、オオコウモリがかじった果物なども感染の要因と考えられています。

 

もともとオオコウモリは森林奥地でひっそり暮らすコウモリで、町中にはめったに姿を見せません。しかし、ギニア奥地の人口急増のため森林が伐採され集落や農地などの町が広がりました。そのため、住処を追いやられたオオコウモリが街中にあらわれ、エボラウイルスをばらまいたのかもしれません。

 

アクションプラン

この本から学び今後に生かそうと思う私のアクションプランですが、

 

3密と移動を控える

 

です。結局のアクションプランですが...。

 

人類の発展とともにウイルスにとっても好都合な環境が出来上がっているのですね。もう、上手に共存するしかないのかな。。。