28冊目 PIXAR-ピクサー(ローレンス・レビー, 井口耕二(訳))
リンク
■概要
PIXAR誕生から学ぶ、人生の向き合い方とは
■3ポイント
① 世に知られていない時代のピクサー ② IPOとトイストーリー ③ 成功とその後
■著者
ローレンス・レビー, 井口耕二(訳)
■更新日
2020.04.02 |
概要
8冊目は「PIXAR-ピクサー- 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話」です。
おすすめの本として紹介されていたためと手にとった1冊です。
あのアニメーション企業であるピクサーが世界一になるまでのお話です。著者はピクサーを世界一にする一翼を担った元CFO兼社長室メンバー ローレンス・レビーです。ローレンス・レビー視点でピクサーの苦難と成功までの話が語られます。
感想ですが、今でこそ世に知られたピクサーですが、無名の時代にいかに自分たちの生き残りをかけて活動していたかわかる一冊でした。自分たちの信念、技術を大事にしつつ、収入を得るための戦略、悩み、葛藤など会社員の自分も考えさせられる点がありました。
今回のポイントは
中道
です。
3ポイント
それでは3ポイントです。
世に知られていない時代のピクサー |
|
IPOとトイストーリー |
|
成功とその後 |
それは一つ一つ確認していきましょう。
1. 世に知られていない時代のピクサー
当時スティーブ・ジョブズがアップルを追われた時代。ジョブズはルーカスフィルムのコンピュータ関連部門を買収し、ピクサーと名づけ、そのCEOの座に就いていた。物語はスティーブ・ジョブズが著者のローレンス・レビーに入社の誘いの電話を掛けるところから始まる。
ピクサーは自らのCG技術を用い映画やアニメーションの制作をサポートを生業としていた。また、アニメーション技師たちは自ら作成するアニメの「ストーリー」と「映像技術」に誇りを持ち、プロの仕事をこなしていた。レビーはピクサーのアニメーション技術に感銘を受けるものの、その事業性が見いだせず入社を迷っていた。しかし、妻の助言もあり入社を決意、CFO兼社長室メンバーとして入社する。
入社後、社内状況を確認するローレンス・レビーであったが、その状況に愕然とする。技術はすごいのだが、どの仕事も収益が乏しく赤字続きであった。大手の顧客にはディズニーがあったがその契約もピクサー側に不利な契約で大きなヒットを生んでも満足な収益を得られない状態だった。
であるのにもかかわらず、ジョブズは早期のIPO(新規上場)を要望する。ローレンス・レビーは打開策を模索する中、ディズニーから受けた「トイストーリー」に目をつけ、自分自身も初めての業界であるアニメーション映画の収益モデルについて調査を始める。
2. IPOとトイストーリー
IPOの実現には収益モデルの組み立て、証券会社に提示し、納得してもらう必要がある。
アニメーション映画業界の知識がからっきしなレビーは様々な手段で調査し、アニメーション映画が映画公開からの収益ではなく、その後のアニメビデオや記念館への展示などで成り立っていることを突き止める。
その内容を盛り込んだ収益モデルを手に自信がないながらも、大手証券会社へIPO申請の打診を行う。反応は上々。会社の紹介のための社内ツアーでピクサーのアニメーション技術を目にした証券マンは大きな魅力を感ていた。
しかし、断りの回答が返ってくる。とても魅力的な技術であるが、収益性が見込めずリスクが大きいとの回答だった。レビーもある程度は予想した回答であったが、大きく落胆した。
しかし、気を取り直して別の証券会社からチャレンジすることにした。その証券会社はシリコンバレーを中心に活動する証券会社。アニメーション映画業界のことについてはからっきしだが、ITなのどのイノベーションを重視する証券会社だ。その証券会社からともにIPOするとの回答をもらい、IPOの土台は整った。また、その後、アニメーションの映画の有名アナリストの後押しもあり、いよいよIPOにこぎつける。
しかし、そのIPOの前にトイストーリーの公開が待っている。トイストーリーの評判が良ければアニメーション企業として花開き、悪ければ信用と期待を失い、どん底の企業に成り下がる。すべてはトイストーリーの評判次第で、ピクサーの今後が決まるのだ。
3. 成功とその後
トイストーリーは数々の記録を残し、大きな成功になった。ディズニーとの契約上、大きな成功の割にはそれほどの収益にはならなかったが、それでもそれしっかりとした収益を得た。さらにトイストーリーの大きな成功のおかげで、IPOした株式も大きく跳ね上がり、ピクサーは有名アニメーション企業となった。また、ディズニー側の担当者のアニメーション業界に対する熱い思いもあり、ディズニーとピクサーを同等に扱う新たな契約も結び、順風満帆な企業と成長した。
それから数年、数々のヒットを生み、ピクサーは名実ともに一流アニメーション企業となった。しかし、その成長も少しずつ陰りが見え始める。あまりに飛躍的に成長し続けたせいで、その反動がちらつき始めたのだ。これまでアニメーション一本で成長してきたが、安定を求めるならテーマパーク建設などの多角経営が必要だ。しかし、その知識と経験をもつ人間は社内にいない。また、アニメーション技師たちが誇り思っている「ストーリー」と「映像技術」以外の事業にあまり手を割きたくない。そこでレビーはジョブズに進言した「ピクサーは高く飛びすぎました。このまま、ピクサーを存続させるなら多角経営が必要です。もしくはディズニーに売るかです」と。少し考えた後、ジョブズはその提案にOKを出す。
その後、ディズニーがピクサーを74億ドルで買収する。ピクサーの誇りとする「ストーリー」「映像技術」をそのままディズニーに持ち込む形で。。。
これまでの一仕事を終えたレビーは数年後会社を退職し、ヨガなど、自分がやりたかったことを堪能していた。
そこでふとこれまでの人生で重要なことは「中道」ではないかと振り返る。
ピクサーにとって「収益を得る」ことが非常に重要でこれまで自分はそのために仕事をしてきた。しかし、一方で事業の根幹となるアニメーション技師たちが誇り思っている「ストーリー」と「映像技術」も当然、重要だった。この二つは対比の関係にあるがともに重要なのだ。どちらが大事ではなく。だから、その両方を両立する「中道」が大事なのだと。。。
アクションプラン
この本から学び今後に生かそうと思う私のアクションプランですが、
中道
です。あまりドキュメンタリーを読むほうではありませんが、著者の体験を通して、自分を見返すことも多々ありました。ジョブズとの交流もうかがえて、一流に接することができた気がします。
ほんの一部しか紹介できませんでしたが、ご興味を持っていただければ。。。。